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今回のレジュメ
●『沈黙』とは?
・違いがわかる男 遠藤周作
父親と母親とカトリック
父常久:第三国立銀行(後安田銀行)、正隆銀行に勤務
母郁:東京音楽学校で安藤幸(幸田露伴の妹)やアレクサンダー・モギレフスキーに師事した音楽家
1932年前後に常久が愛人をもうけてから夫婦仲が微妙になりはじめた。
1933年:両親が離婚、帰国、伯母の影響で西宮市にあるカトリック夙川教会聖テレジア大聖堂に一家で通い始める
1935年:カトリック夙川教会聖テレジア大聖堂で洗礼を受ける
郁の洗礼名はマリア、周作の洗礼名はパウロ
母親への裏切り
1942年:母に経済的負担をかけないためという理由で、世田谷区経堂の父の家へ。
戦争とカトリック(カトリックの学生寮白鳩寮)→キリシタン時代に関心を持つ理由
「合わない洋服」→日本人は結局、個人・集団として現世・来世に不利益と思えば思想そのものを大きく変更しても構わない、この原理は日本人に取りあらゆる哲学や宗教原理よりも強い
47:評論「神々と神と」批評家デビュー
50-53:フランス留学・肺結核
56:『白い人』芥川賞受賞
57:『海と毒薬』
60:肺結核再発
「日本人でありながらキリスト教徒である矛盾」
「私にとって神とはなにか」
「最もみじめであり、最も美しく、傍らにいて見守ることで救済するキリスト」
ヨーロッパで触れたキリスト教が父性原理を強調するあまり日本人の霊性に合わない
『海と毒薬』
人体実験をする医師・看護師
良心の呵責を感じながらも、人体実験への参加を呼びかけられ、強い反発もせずに漫然と関わってしまう
→キリスト教の様な倫理的性質をもつ行動原理が日本人には存在せず、集団心理で平凡な人格の持ち主たちがなんとなくに非道に「転んで」しまう
「海と毒薬」に対する一部からの反発は強く、発表後、遠藤家に「死ね」と書かれた血書や、「日本の恥部を抉ってどうするつもりだ」という脅迫状、果てには日本刀が送り付けられた。
『深い河』
「キリスト教が唯一の正しい宗教」→遠藤の考えとの矛盾
『女の一生』
隠れ切支丹 清吉を愛するキク
ユダとしての役人、清吉
第二部
修平:子どものころから教会で「殺すなかれ」という教えを唱えさせられてきたキリスト教の信者で、自分の人生で他人のことを殺すことがあることなど想像したことはなかった。しかし、学生の徴兵延期の廃止とともに、自分が人を殺さねばならない状況に追いやられることに、動揺し狼狽する。
→特攻隊員に志願
『私が棄てた女』
セクフレ ミツとハンセン病(誤診)、手首のあざ
純粋に人を愛し続けるミツはイエス像に結びついており、その主題はのちに『沈黙』に結晶する。
・マーティン・スコセッシ
・篠崎誠版
脚本に遠藤が参加しているが、映画オリジナルのアレンジはこちらの方が多い
ロドリゴの敗北として描かれる→パッケージ
●皆の『沈黙』評
・宇多丸
ハリウッドが制作するにしては正しい日本描写、日本人にとっても居心地の悪いシーンもフェアに描く
オリジナルのラスト、まるで『市民ケーン』、やりすぎにみえるかもしれないが、そもそも誰からもらったのか?
フェレイラ説を相対化する別の回答がロドリゴにはあった
今日的テーマ(原理主義、排外主義との対立)に開かれる配慮がある
テーマの立派さと映画の美しさ・立派さが一致している
スコセッシにとっての一環したテーマ
オランダ商人の日記 スコセッシ作品のキモ
「負けたけど、世間からはみさげはてられた存在になってしまたけど、この男の魂の奥底には芯の一本通った折れない何かがある、もしくは折れないように踏ん張ろうとしていた」
「身も蓋も無い力の論理に対して、そうではない人生の価値があるのかないのか」
・町山智弘
アメリカ映画の主人公は強き者
エリアカザンがスコセッシに弱き者を主人公とした映画を教えた
最低の人間こそが最低な人間の罪を理解できる、最も聖なるものになる
映画をイエズス会で上映することで、ユダ・ロドリゴ・フェレイラを赦すことに成功した。これが映画の力だ!
エリア・カザンにアカデミー名誉賞を与えるよう根回ししたのもスコセッシ「これで死ねるよ」
遠藤周作もエリアカザンも罪人たちをバーチャル体験させるもの
おでこごっつんは、『波止場』『エデンの東』のゆるしのシーンから、ユダの接吻
・山田玲司
ラスト二十分が凄い
スコセッシは裏切らない
二つの日米の魂が一つの踏み絵で交わる
神様いるんなら出てきてくれよ
一神教の布教、グローバリズムの傲慢と、抑える側の傲慢を対等に描くすごさ、
これは日本人のためではなくアメリカ人の、カトリックのための映画では?
科学・アイドル・漫画……自分にとって大事なものを棄てられるのか?
お前が色々言ってるうちは、神はなんにも言ってくれない
●実際にみてみよう
・基礎知識
・カトリックとプロテスタント(と正教会)の違い
万人司祭のプロテスタントと、中央集権・伝統的なカトリック
七つの秘跡、洗礼赦しを与えられるのは司祭だけ
カトリックにとっての天国、罪の無い状態(赦される)でないと天国に行けない、辺獄
・17世紀当時の日本と宣教師
イエズス会
島原の乱
ヴァリヤーノ神父
・キリスト教
ユダとは?
ペテロ 鶏の声の意味
ヨブ記と「沈黙」
・「沈黙」を書いた理由
エッセイ
『満潮の時刻』のベルイマンの『沈黙』
・自然音ではじまる理由
虫のさざめき(蠅の羽音)、波の音→芸人にとってのクーラー音、沈黙
ラスト、アニミズムという要素もつく
・いきなり拷問シーン
拷問のレパートリーの多さ、いやらしさ→殺すと年貢減る、転ばせて社会になじませるのが目的、殉教は逆効果、プロパガンダ・ウォー
・1633 pax christy
ヴァリヤーノ神父、実在の人物、ゴア→マカオ
・キチジローとは?
窪塚洋介格好よすぎ問題
マカオ行っただけでヒーロー扱いなはず
・ペトロ 子羊を放せ
・小舟から海に入るキチジロー
まるで洗礼のように、頭まで海中に入る
・キリシタンのヨモギ村
じっさんの妻の異形さ 播田美保→モンド風味(@宇多丸)、じっさんの死まで続く
食事と祈り→きっちり笑いも入れるスコセッシの余裕
掌を合わせて祈る=拝むことに注目
・英語問題
片桐はいりでさえ英語が上手い
・炭焼き小屋
着物を石で叩く意味
霊操とは?
日光浴、原題『日向の下で』
GOD SIGN→ノアの箱舟(こういうのいっぱい出てくる)
・船に乗って五島へ
『雨月物語』の引用? 黒沢清のバスと同じく異界への旅、セット撮り
「美しい者のために死ぬのは容易い
醜く腐敗したもののために死ぬのは難しい」→誰のこと?
「自分を愛してくれる者のために死ぬのは易しい。しかし自分を愛してもくれず、自分を誤解している者のために身を捧げるのは辛い行為だった」イエスのこと
【出演】
Dr.マクガイヤー
「ゲロとレイプがある映画は傑作である」と言い切るアラフォーオタク。 ボンクラ映画をこよなく愛する正体不明の冒険野郎。番組中の白衣は自前だ。
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2017年2月5日収録